漁港や堤防など、浅場での釣りでは、根がかりで糸が切れてしまうことがよくあります。
しかし、夜釣りやカヤックフィッシングの最中に、リーダーを結びなおしたりするのは避けたい作業なので、予備のリールが欲しくなります。
一方で、道具の良し悪しもよくわかっていない「下手の釣り好き」ですが、もしかして道具を変えてみたら、もっと釣れるかもしれない!という、他力本願な考えも沸いてきます。
そこで、有名メーカーの、実勢価格数千円以下で買える、エントリークラスのリールを揃えてみました!
実際に比較しながら使ってみて気付いた事もあるので、その機構や使い心地を、写真とともに紹介いたします。
シマノ、ダイワ、アブガルシアの、エントリークラス リール
もともとお買い得なリールしか買っていませんが、3000番くらいのスピニングリールで、各社の一番安く入手できるものを選んでみました。
安物買いの...という言葉もありますが、もしも、このまま釣りが上手くなって高級なリールが欲しくなったとしても、どのメーカーのものを選ぶか迷ってしまいます。
その時がきたら、エントリークラスにも手を抜いていないメーカーであれば、間違いない!と自分で納得するためにも、今回の出費は無駄にならない筈です。
前置きはこれくらいにして、下の3個のリールを、3,000円以下で入手しました。
- アブガルシア 17カーディナル S2500D
- シマノ アリビオ C3000
- ダイワ 16ジョイナス 3000
これらのリールの諸元値も比較表にしてみました。
これら3個のリールをメンテナンスできる程度に分解して、機構を比較しながら、それぞれの特徴を紹介していきます。
ここから後は、各々のリールを、「アブガルシア」「シマノ」「ダイワ」と簡略化して呼称させていただく場合がありますが、各社のリール全てを意味してはいませんので、ご承知おきくださいね!
リールを分解していきます
これから紹介する写真では、リールの並び順は全て同じです。
私が入手した順番になっているのですが、左から
- ダイワ 16ジョイナス 3000
- アブガルシア 17カーディナル S2500D
- シマノ アリビオ C3000
の順番で並べています。
分解した部品の写真でも、この順番は変わらないので、ご参考にしてください。
ドラグノブを緩めて、スプールを外します
ドラグノブを緩めてスプールを外すと、リール本体のメインシャフト上に、ギヤ形状の部品が現れます。
また、スプールの裏側には板バネがついているのが確認できます。
ドラグの強さ以上で釣り糸が引っ張られると、スプールが回転して釣り糸が出ていくのと同時に「カチカチ」や「カンカン」という個性がある音がするのは、このギヤ形状の部品が、それぞれ違った形の板バネを弾いているからなんですね。
それでは、そのギヤ形状の部品を、本体のメインシャフトから外します。
メインシャフトには、プラスチックのワッシャー状の部品でとまっているので、それを先に抜いていきます。
シマノは3枚、他の2社は2枚のワッシャー状部品でとまっていました。
こうやって3社のリールを並べてみると、ベールの太さがそれぞれ違うのも面白いですね!
ローターを外します
ローターはナットでとまっていますが、このナットは3社ともに、スクリューで回り止めが施されています。
最初にナットの外側にあるスクリューを外してから、ナットを緩めていきますが、アブガルシアだけはナットが逆ネジになっています。
リールの心臓部に近づいてきました!
ここで、今一度おさらいですが、写真では左から順に
- ダイワ 16ジョイナス 3000
- アブガルシア 17カーディナル S2500D
- シマノ アリビオ C3000
です。
ジョイナスの逆回転をなおした方法
写真で左端のジョイナスは、反転ストッパーの解除機構がありません。
複雑な解除構造がいらない為か、他のリールではレバーで操作する反転ストッパーの解除機構がある位置に、ジョイナスには反転ストッパー自体を設けています。
このストッパー機構は、ローターを回転させる軸の摺動抵抗でカムを動かす方式です。
カム方式なので、逆回転が始まってからストッパーがかかるまでに動きのロス区間があり、ローターが少し逆転してしまうような遊びが発生します。他の2社のものはローターがピタッと止まるイメージなので、惜しいところです。
さらに、オイル切れや汚れなどにより、このカムが固着ぎみになると、反転ストッパーが働かなくなり、少しどころか、どこまでも逆回転します。
私も一度経験しましたが、ジョイナスの評価で稀に見かける「ストッパーが効かなくなった」や「逆回転する」という現象は、このカムをメンテナンスすると復活する可能性があるものだと思われます。
私の場合は、カムの軸となるカラーをとめている大きめのスクリューをはずした後に、カラーとカムも外してメンテナンス(清掃)し、グリスを塗布して再組付けしたところ、逆回転が止まらない現象がなおりました。
ハンドル軸を外します
ローター側をさらに分解して、反転ストッパーやその解除機構をバラバラにすることもできますが、普段そこまでのメンテナンスはしないので、ボディー側の分解に移ります。
ボディーを分解する前に、ハンドルをはずしておきます。
ダイワとアブガルシアは、ハンドルのシャフト部が、構造と形状ともに似ていますね。
ボディー後端の化粧カバーをはずします
ボディーの左右を連結しているスクリューを外して、パカッと開きたいのですが、その前に化粧カバーを外しておきます。
化粧カバーは、シマノが2本、他は1本のスクリューでとまっています。
ボディーの半分を開きます
ボディーの片面に集中している、カバーをとめているスクリューを全て外します。
アブガルシアとシマノは、化粧カバーを外したら現れるスクリューもあるので、それも外してからカバーを開けます。
シマノは、外したカバーにフットがついてくるイメージです。
ここまでバラせば、グリスアップなどのメンテナンスができますね!
ボデーの中に格納されているギヤ構造は、3社のものとも、ほぼ同じでした。
アブガルシアのカーディナルは、ハンドル軸にも金属ベアリングが使われています。
ダイワは、ハンドル軸と一体の大きなギヤが、反対側からCリングで抜け止めされているので、これ以上バラバラにする場合は、注意が必要です。
使ってみて感じたこと
最後に、それぞれのリールの使い心地を、簡単に紹介してみます。
ダイワ 16ジョイナス 3000
3000番台では最も安かったので、初めて入手したリールです。
いろいろな魚の初釣果を経験させてくれた思い入れのあるリールでもあります。
ただし、既に紹介しているように、逆回転時にストッパーが効くまでに遊びがあります。ハンドルの正回転がスムーズなだけに、惜しいところです。
私は、繊細なあたり等を感じたい釣りではなく、サビキなどの「向こう合わせ」でよい釣りで使う事にしました。
アブガルシア 17カーディナル S2500D
エントリークラスにしては、金属ベアリングが多く使われているためか少し高額なので、このリールだけは2500番になってしまいました。
その金属ベアリングは、しっかり働いている感があり、ダブルハンドルをゆっくり動かしたり、頻繁にスピードを変えて動かすような場合でもストレスなく使えています。
これまでは「ベアリング=静か」だと思っていましたが、このリールを動かすと、独特の「シャー」という音がします。
気になるほどではないので、ベールの太さと合わせて、この独特な音も、アブガルシアの味ある特徴だと思って使っています。
最大ドラグ力が6kgと強力なのは、他の2個のリールにはないメリットで、安心して(まだ一度も釣たことがない)予期せぬサイズにも挑戦できます。
シマノ アリビオ C3000
このリールは、紹介してきた3機種の中でも最後に入手したリールです。
まだ使い始めて日が浅いですが、このリールが最もバランスがいいと感じています。
3個のなかで最も多くのスペースがあてがわれている、逆回転防止ストッパーとその解除機構がしっかりと作られている為ではないかと思われますが、金属ベアリングは本当に1個だけ?と疑いたくなるくらい動きがスムーズです。
わずかに作動音がするものの、ハンドルの自重だけでも高級リール並にローターが回転し続ける動きは、金属ベアリングが少ないリールとしては、驚きのレベルです。
最大ドラグ力は3kgと少なめで、外観も質素ですが、それを打ち消しても余りある動きの良さだと感じています。
まだ釣り入門者からステップアップできない私ですが、いまから堤防などでの海釣りを始められる方に、エントリークラスのリールをオススメするとしたら、シマノのアリビオです!