タイでの釣り修行は、回数を重ねるごとに、いろいろな魚に会うことができるようになって、毎回楽しい時間を過ごしています。
12月になって、バンコクでも日本の初秋のような過ごしやすさになってきた頃、これまでのタイ滞在のなかでは一番遠くまで足を伸ばして、マングローブが生い茂る汽水湖の、水上観光地に行くことになりました。
ということで、今回は旅行記のような内容ですが、釣りでも思わぬ成果があったので、ご紹介させていただきます。
チャンタブリの汽水湖
カンボジアとの国境に近いチャンタブリは、車の場合、バンコクから4時間ほどで行くことができます。
チャンタブリには、ヨーロッパの影響をうけた建物が残っており、タイでは珍しいカトリック大聖堂もあったりします。
今回は、そんなチャンタブリの中心部からさらに南下して、大きな汽水湖の水上集落に向かいます。
ローカルな高速ボートでバンチャンに移動
広大で、しかし浅瀬が続く汽水湖は、マングローブが群生していて、入り江近くのバンチャンにある水上集落まで、陸上から近づくことはできません。
ということで、湾の最も奥にある駐車場に車を停めたら、そこからは高速艇で水上集落まで移動します。
これ、乗ってみたかったのですよね〜
我々が乗り込んだ6人乗りの小さなボートの動力源は、車、それもおそらくタクシーのエンジンだったものを再利用しているようです。
この、草刈機に車やバイクのエンジンをくっつけたような構造、カヤック用で2馬力以下のものが自作できたら楽しそうですよね!
...などと妄想しながら、カキの養殖に使っていると思われる大量のペットボトルのフロートをすり抜けて、水上を滑るように移動すること20分くらいで、水上集落に到着しました。
ホームステイで、久しぶりのカヤック
日本では民宿のようなイメージでしょうか? アットホームな雰囲気の、水回りが半共同の宿泊施設を、タイではホームステイと呼ぶそうです。
とりあえず今回は、民宿と呼んでおきますね。
集落全体がアトラクションパークのような民宿街では、午後になると、それぞれの民宿が用意する筏に乗り込んで、湖内周遊が始まります。
そしてそして〜
干潮で水深1mくらいになっている汽水湖の中央部に投錨したところで、久しぶりのカヤック!
2〜3人乗りのようですが、1人で漕いでも速い!
ということは、日本でカヤックフィッシングをしていた時は、装備を積みすぎて重くなりすぎていたという事でしょうか?
なんにせよ、久しぶりのカヤックの感触を存分に楽しむことができました。
なんだか釣れる予感...
ミッション開始!
タイ人の友人に全て任せっきりで、ついて行くだけの旅ですが、私のやりたい事がひとつだけあります。
それは、この浜名湖のような場所で、何でもいいので魚を釣ること!
筏が民宿まで戻った後、夕食が始まるまでの間に、綺麗な夕日を見ながらモバイルロッドで釣りをしてみます。
周りでは、他の方も釣りをされていますが、何を狙われているのでしょうか?
こっそりと様子を見させていただくと、日本で陸からキスを狙う時に似ている仕掛けを使われています。
肉眼でも確認できる水中の魚は、鉄砲魚だけですけど...釣れるかな?
ちなみにこの鉄砲魚、パンくず等を持ってかざしていると、勢いよく撃ってきます。
水中からなのに、よく見てますね!
話を釣りに戻して...私はキスよりも大きい魚を狙いたいので、11号の針がついたサビキ仕掛けにスルメをつけて、干潮に向かう潮に流してみます。
あまりに遠浅すぎて、水中に良いサイズの魚がいることをイメージできず、釣れないのが当たり前!だと考えていたので、鈴をつけて置き竿にして、まったりとアタリを待ってみることにしました。
...小さな魚がスルメを突いているようで、たまに鈴が小さな音を発します。
しかし、スルメが硬すぎるのか、エサは全くなくなりません。
エサ取りに持っていかれなくて楽だわ〜と思いながら、流す高さを変えて反応の違いを探ってみます。
ヤツは突然現れました
そうこうして夕暮れ時が過ぎていき、周りが暗くなってきた頃に、灯りがある場所に移動してみることにしました。
ところが、最初に灯りに寄せられてきたのは魚ではなくタイ人で、「エサは何?」などと、我ながら奇妙な釣り方をネタにして、会話が弾みます。
少し大きめの鈴の音が断続的に聞こえるようになって、会話しつつも竿先に注意していると、いきなりロッドが水中に引き込まれそうになりました。
会話中断!
増し締めしても鳴りやまないドラグ音に、船に引っ掛けてしまったのでは?と思い、まわりに動いている船がいないか確認しますが、エンジン音は全く聞こえません。
そして、徐々にリールが巻けるようになってきた時に、その手ごたえから、魚が掛かっている事を確信します。
終盤になって疲れてきた魚は、最後はあっけなく筏にあげることができました。
これは、昼にいただいたスープの中に、ぶつ切りで入っていたヤツですね。
初めて釣ったナマズは、しばらく筏の上で身をくねらせていましたが、フィッシュペンチを準備している間に、おとなしくなりました。
嬉しいので、友人にお願いして記念撮影をパシャリ!
おそらく生きているナマズを見たことがなかったであろう友人に、「食べる?」と聞いてみますが、首を縦にはふりません。
私としても、昼に頂いたばかりだったので、民宿にお願いして調理してもらう気にはならず、少し小太りの天然ナマズは、湖にお帰りいただきました。
狙い通りの場所で釣れた!と安堵しつつ釣り道具をかたづけて、夕ご飯の会場に向かうことにします。
番外編;カニ食べ放題
夕食会場に入ると、茹でたカニが陳列されていました。
ワタリガニでしょうか? 日本で見なれたものと比べると、ツメが丸々としているので、違う種類かもしれません。
カニだけではなく全て食べ放題のシステムになっていますが、友人はテーブル上にカニだけを積み上げて行きます。
せっかくなので私も!ということで、硬い甲羅で親指を流血させつつ、3匹いただきました。
酢醤油が欲しかったのですが、さすがにタイの水上集落には準備されておらず、代わりに酢橘でカニを堪能します。
他にも、スズキのような魚の天ぷらなど、美味しい食べ物がたくさんあり、たいへん豪華な夕食です!
この水上集落は、あまり知られていないのか、私の他に日本人を見かけることはない旅でしたが、タイの漁師町の雰囲気をゆっくりと堪能できただけでなく、ナマズも釣ることができて、思い出に残るタイ紀行となりました。